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気が付けば43歳の料理人の長い独り言

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気が付けば43歳の料理人の長い独り言

知らない間にパティシエ藤本がコラムを2つ書いていました。

親バカかも知れませんが、なんか感動しました。

 

藤本は前のジラソーレの常連客でした。

大体2か月に1回くらい、一人でランチに来ていました。

初来店の予約時にシェフはナポリで修行したと聞きましたが、ひよこ豆の煮込みのパスタできますか?と問い合わせしてきたのを覚えています。

当時、そういった道場破り系の変わったお客さんが多くて、少し辟易としていたかもしれません。

若そうな女の子っぽかったけど、この人もそっち系かな?と思っていました笑

 

普通、何らかのリクエストを下さったお客様とは、その後会話が弾みやすいです。

まあ、リクエストにもお答えしてる訳ですし、お声がけしやすいですからね。

藤本は違いました。

多分、全く話さず帰っていったように思います。

地顔が少しふくれっ面な事もあり、なんか機嫌を損ねたかな?粗相があったかなと振り返ったくらいです。

当時からご予約頂いたお客さんのデータは、ストーカー並みに残してたので2回目の藤本の予約が入ったときはホッとしました。

別に怒ってはいなかったかなぁと笑

2回目は確か豆のリクエストがなかったので、当日来てから本日の料理はこれですが、豆好きなようなのでこんな豆料理も用意しときましたけどどうします?

的なVIP対応をしてみました。

その返事は、(じゃあそれで。)

この後藤本がこのコラムを読んで何らかの反論か言い訳をするでしょうが、僕は結構この点に関しては覚えています。

愛想わるー!!!!

と、軽く腹立ちましたから笑

多分、この時も全くしゃべっていません。

しかも前の店のカウンターに一人で座っているにも関わらずです。

話しかけないでくださいオーラが、ケンシロウ並みにでていました。

 

それでも2か月に1回くらいのペースで通って来ます。

さすがに苦手系ブロガーでは無いと確信してましたし、多分どこかの飲食店、おそらくイタリア料理店で働いてるのだろうなと思っていました。

何回目の来店か忘れましたが、どっかの飲食店で働いてるの?と聞くと滋賀県のホテルで働いてるとの事でした。

てっきり料理人かと思えば、パティシエ見習いだそうで。

ホテルに入る前に、ナポリ近郊のサレルノというところに、短期でホームステイしたことがあるらしく、それでナポリ料理、特に家庭的な豆料理食べれる所ないか探してジラソーレにたどり着いたそうです。

だからほんとはお菓子もイタリア菓子がしたいのですが、そんなお店ないですし、ホテルでも気さくな上司にイタリア菓子とか作ってみたいと言ってみても、ダメダメあんな地味なの。

と一蹴されたなど、話しかけると結構話す子でした。

それからしばらく、気にもしてませんでしたが来ない時期がありました。

予約を貰ってから、あ、藤本さん結構久しぶりやん、と。

近況を聞くと、滋賀の有名なフランス菓子の店に移ったそうで、そこの仕事が当時のジラソーレよりきつそうで、初めてブラック自慢で負けたかな?と思いました。

最初はしんどすぎて外食する元気もなかったらしく、少し慣れたので来てくれたそうです・。

その頃からかな?その前もあったかな?

ほとんど一人で来てたけど、職場の友人と来てくれたりお母さんと来るようになったり、すっかり常連ぶってました。

そのフランス菓子のお店でフランス旅行があったそうですが、僕はあまり意味が分からなかったのですが、藤本だけイタリアに行ってきた?みたいな事も言ってました。

その話聞いたとき位ですかね、この子ジラソーレで働いたら良いのになと思いました。

しかし、当時のレストランの規模でパティシエを雇う余裕はありませんでしたから、その事を誰かに口にすることもありませんでした。

 

その後、ご存じのように今のお店への移転プロジェクトが生まれます。

上手く伝わるか分かりませんが、1軒目、2軒目より3軒目のプロジェクトが一番明確でしたが、どんなお店に実際なるかのイメージは一番つきにくかったです。

何故かと言うと、今までの店は最終的に一人でも何らかの形で出来ましたが、今回の店は一人ではこの店のスタイルは維持できません。

必ず人に頼る、任せる部分が生じる訳です。

パティシエは絶対雇わないとなぁ。。。

と思った時に閃きました。

そうや、藤本さん誘ってみよう。

不思議とすでに一人前になってるパティシエを探すつもりはありませんでした。

そもそもイタリア菓子を専門にしてるパティシエなんかそうそういませんし、フランス菓子を長くしてる人にイタリア菓子は作れないと思うからです。

これは優劣の問題ではありません。

料理もお菓子もイタリアとフランスは隣国だけど大きく違うのです。

もちろんイタリアを専門としてる人も、フランス菓子、フランス料理は作れません。

なんらかの共通点もあるでしょうが、わざわざ共通点を探して話題にするほどの事ではないでしょう。

日本料理と韓国料理の共通点を日本で話題にしないのと同じです。

藤本が作るお菓子を食べた事なかったし、どの程度仕事が出来るかも知りませんでしたが、直感で大丈夫やろと思い込んでました。

 

予約時に伺った藤本の携帯番号にショートメールで30個くらいに分けてメールしました。

僕のジラソーレ移転プロジェクト。新店にはバールとパスティッチェリア、ロスティッチェリアを併設すること。

バールでイタリア菓子と甘口ワインの提案を本気でしたい事、働きに来ませんかという事、もちろん大前提で今の職場の円満退社が条件。

来る気があれば移転時期を多少合わせる事も考えてる事、などなど。

メール送った日から早くても1年以上先のプロジェクトでしたので、興味があれば来てくれるかな?と思っていました。

 

しかし、メールの返事は2週間以上なし。

あれ?もしかして引かれてる???

と、がっかりした頃にメールの返事が来ました。

 

何が言いたいのかイマイチわからない文章ながら、来る気は満々な感じの返信でした。

ただ、その時の職場もやっとポジションが貰えたりで、すぐに動ける訳ではないと。

そりゃそうだ。

僕も決して引き抜きをしたつもりもなければ、結果的にそう思われても仕方がないと思われるのもダメだと思っていましたので、そこはしっかり伝えました。

まだまだ先の話。

でも絶対実現させたいから、その時はたのんまっせとお願いしました。

そのやり取りから考えると4年半ぐらい経ってるのかな。

すげーな。

それから何か月後か忘れましたが、新店舗でのパティシエとして前のジラソーレに藤本が来たときは、プロジェクトは固まってるけど僕が借り入れに難航してる真っ最中でした。

まだお金の目途が立っていない、つまり移転できるか分からないのにパティシエ来ちゃった。

当時から真面目で一生懸命働く子でしたが、まあ子供でもありましたので、シェフ~移転いつですか~?とまさに子供が早く遊園地行きたい的に聞いてきます。

物件決まってるわ、施工業者決まって見積もりも現調も終わり墨だしもしてるわ、銀行からは苛められるわ、スタッフはどないなるんか心配してるわ、でも僕の方がもっとどないなるか心配してましたし、ストレスと度重なる返済計画の書き直しで過呼吸になってました。

 

色々思い出すと懐かしいなぁ。

移転してからの事をこんなに振り返るのは初めてです。

基本的に過ぎた事に執着ないので、同窓会とかも行ったことないな。

なんでこんなに振り返ったかというと、来年藤本がイタリアに行くのを全面的に応援しようと決め、藤本不在の間のデザートを誰がするかというのも多大に迷いましたが僕がすることにしました。

もともと僕が藤本に教えたお菓子を、藤本が3年半分の利子をつけて僕に教え返してくれています。

3年半作り続けると、こんなに小さな、でも大切で繊細な気づきが沢山あるのだと感心すると同時に、弟子に抜かされる快感を初めて味わいました。

弟子に抜かされる。

かなり爽快で沢山のエネルギーを貰えます。

これは今後の人生で一回でも多く味わいたい特別な感情です。

技術的な事だけではありません。

店の事、お客さんの事、僕と同じ感覚で考えてくれています。

でも藤本は僕ではなく、別の人間です。

これが僕が思う仕事上の最強のパターンです。

1+1が2以上になるパターンです。

だから僕は藤本がイタリアに行くことを心から応援できます。

 

これを読むと、杉原シェフ藤本さんだけ可愛がり過ぎ!と言われるかも知れません。

でもね、そんな事ないんです。

僕は全員に同じように接して、同じように負荷をかけ、同じようにチャンスも与えます。

藤本が溶けかけたジェラートを出そうとしたことが移転直後あり、その時なんかは鬼の形相でお前なんかパティシエ辞めーー!!!とどなり倒したこともありますし。

HPのブログも全員に書くよう言っていますし、自分が出来るどんな小さなイベントや集客でも良いから考えてみなさいと全員に同じようにチャンスを与えていますが、続けたのは彼女だけでした。

接客もアレルギー的に苦手でしたしね。

軽い対人恐怖症ですよ。

移転一年目はほんま、泣きながら仕事してましたね。

それも克服しました。

 

藤本は今、ジラソーレのパティシエとして基本的に完全自由です。

何を試作するもメニューいつ変えるも、自由です。

でも好き勝手やってるのとは違います。

僕と同じルールで動いてるから自由なんです。

むしろ僕よりその共有してるルールに対し、忠実なくらいです。

 

僕はこんな仲間が一人でも多く欲しい。

ほんとに喜びも悔しさも共有できるから。

夢も目標も共有できるから。

 

今の僕の目標は、来年常連さんにやっぱりシェフの方がお菓子上手よと言って頂く事。

更にお菓子の売り上げをもっと上げる事。

 

藤本が帰ってきたとき、また泣きながら仕事させたろうと思います。

そしてまた必ずもう一度僕を抜いてくれるはず。

 

これはパティシエだけじゃなく、すべてのポジションでそうなって欲しい。

洗い場なら洗い物は僕より綺麗で速い。

イカの掃除なら僕より丁寧で早い。

電話対応なら僕より丁寧で親切。

などなど。

この店で、すべてにおいて僕が一番だとしたら、それは大したことないでしょ。

一つ一つの仕事を見直して、それぞれのポジションで僕を打ち負かして欲しい。

そして僕は僕の得意な事に専念し、もっと得意になる。

これが僕の目標。

 

レオナルド ダヴィンチが最後の晩餐に着手したのが確か43歳。

同じ43歳の僕はまだ何も、世に残るものを作れていない。

まあ、世に残る料理ってあまりないですが、でも技術や人を残したい、と思うようになってきたのはいい歳だからかも知れません。

 

時代は個の時代と言われています。

チームプレーでなく個人プレーで生き残る時代です。

僕は個人プレーで生き残れる人とチームプレイしたい。

やっぱりマンモスを狙いたいから。

一人じゃ倒せない獲物を皆で倒して、マンモスを食いたいと思っています。

 

最近、調理師学校の生徒さんなんかも、良くブログを見てくれてると言ってくれるので、ちょっと堅い話になりました。

以外と職場は和気あいあいです。笑

 

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茶色いエプロンは、来春から就職する橋本君。

あだ名をハッシーにするかパッケにするか迷っています。

いきなり研修でイカの掃除に遭遇。

自分と先輩のスピードの差に凹んでいましたが、僕に言わせるとその先輩も大したことないでと。笑

 

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僕より怖い藤本先輩直々にタラッリのご指導

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見れば誰がどれを作ったか分かります。

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藤本が作った見本を自分作と言い張るMr。能天気

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週末のバールには名物おっさん(爺さん?御年65歳)バールマンも

 

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バースもでっかい体で滅茶早い動きです。笑

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超困ったら師匠も手伝いに来てくれます。

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お菓子の再修業からのすぐどや顔

 

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