芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

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2011年6月

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野菜が熱い!

 以前のコラムでも書きましたが、ジラソーレでは素晴らしい生産者から仕入れをしています。
 
オープン当初は全部~業者~でした。今は、~生産者~からの仕入れが殆どです。そんなに沢山の選択肢も無い中から、取りあえずって感じで使い始めた食材の数々。
ほとんどは、1,2回使ってみて止めました。オープンから数年間、まず安心して使いだしたのは、ヨーロッパ産の肉類、チーズ、肉加工品。
まー、あまり裏切られることは無かったです。でも、鮮度の面では常にちょっと不満でした。
 
古い訳じゃないですよ。むしろ食べごろピークが殆ど。店に来てから日持ちが全くしなかったんです。
移転前の小さな店では本当に苦労しました。
 
同時期、今も使っている極み豚に出合いました。これもオープンから今もずっと続いています。
20代前半、生意気にも将来豚が流行ると確信し、養豚場にも少しお世話になった事があります。
 その後、豚肉は大流行。数々のブランド豚が誕生しました。結構色々試しましたが、僕は極み豚が1番。
決め手は、ローズマリーの香りと最も合う事。後、赤身の質を高め、熟成させてから出荷させる事。
イベリコは確かに美味しかった。でも美味しすぎて豚じゃないみたい。もちろんウチがスペイン料理店なら確実に使ってましたが。
 
後、淡路の魚。正直ちょっとお値段張ります。淡路産の魚が高い訳でなく、この魚屋さんが特別なんです。
活け越し、〆の技術、素晴らしいと思います。
この前、兵庫県の日本海側の食材も開拓しようと、日本海側の漁師さんから直で魚を少し取りました。瀬戸内は、ちょっと深刻に海老が少ないんです。
んー、兵庫県縦断は、魚介類には遠いのかなー。今度、現地に行ってみようと思っています。
 
 そして、野菜はというと、最後のテーマでした。料理の専門誌に時々載せて頂くことがあり、そうすると、日本中から色んな生産者の方達から連絡を頂くようになりました。
特に野菜はこれっと言った物に出合っていなく、以前はイタリア産を使う事が多かったです。
産直の農家の方と色々お話をしましたが、実際僕が欲しい野菜を作っている所が意外と少ないんです。
 
僕は、変わった色の野菜とか、生で食べれるなんチャラとかに惹かれないんです。アスパラならアスパラ、ズッキーニならズッキーニの個性が明確なのが欲しい。
西洋野菜に関しては、良い出会いがなかなか無かったんです。あと、欲しいものだけ買える所も意外に少なかったかなー。
 遠方から送って頂くので、送料が掛ります。となると大きい箱に、命一杯詰めてもらうとお得なんですが、どうしても大根系が混ざってくる。
大根が嫌いな訳ではありません。むしろ美味しい素晴らしい大根を色んな所から送って頂きましたが、やはり大根以前にもっと極めたい、勉強したい野菜が沢山あるので続かないんです。
 
農家で、まず惚れたのが広島の中台さんの完全無農薬レモン。1回注文すると15キロ。防腐剤の掛って無いレモンって腐るんですよ。当り前ですけど。
昔、まだ見習いだったころレモンが腐ったの見た事無かった気がします。
 
この使っても使っても減らない感。イタリアを感じます。当然、自家製リモンチェッロ、自家製レモンジャム等作るようになります。
今では、リモンチェッロ、レモンジャムの為に買っていると言っても過言ではありません。
 
 次の愛すべき農夫は、明石のチーロのおじさん、おばさん。兵庫県の三木で畑をやってらっしゃるんですが、チーロの小谷さんがイタリアから色々持ち帰ってこれ植えて、あれ作ってとしてるのを分けて頂いています。
 
そして、九州のシルヴィオ。フリアリエッリ、ブロッコリー ディ ナターレ、スカローラ。ナポリ料理の1番のエッセンスは、魚介でも、肉でも無くもしかしたら野菜かもしれないと思う今日この頃です。
去年の冬は、シルヴィオのナポリ青菜で本当に楽しめました。
 
そして同じ冬、兵庫県の尼崎の島中さんからも、野菜を頂くようになりました。真冬に、信じられない美味しいトマトを作ります。生食では最高峰ですね。
真夏にあのトマトがあれば尚良いのですが、冬だからこそ、情熱と技術で作れるそうで、夏の湿度が一層恨めしくなります。
春の、アスパラ、カルチョ―フィもよかった!
 
三木の畑も、シルヴィオのとこも、島中さんとこも一斉に植え替え時期に入り、春から夏の準備中、がくっと野菜が減りましたが、まずは南のシルヴィオのとこから次々と収穫の報告が入ってきました。
いくつかご紹介しましょう。
 
 
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こちらバジリコ ナポレターノです。ナポリ種です。ちょっと葉っぱが縮れてますね。素晴らしく甘くさわやかな香りです。
この様に大きな葉っぱで、でも葉は薄く、色も普通のバジリコより少し薄いのが美味しいです。
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こちらバジリコジェノヴェーゼ。いわゆる、一般的なバジリコです。が、こちらのはホントにイタリアの種。
こっちのバジリコはペストにします。
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これはパキーノプリエーセと言う品種のプチトマト。写真では分かりにくいですが非常に皮がしっかりしてます。
で、日本のプチトマトはちょっと赤黒いですがこれは朱色。生でも食べれない事は無いですが基本加熱用です。
 
意外かもしれませんが、イタリアはあまりトマトを生で食べません。食べますけど、生と火を入れる割合が丁度日本の反対位です。
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昔、アメリカ大陸からトマトが伝わった時トマトは黄色かったってご存知ですか?奇をてらった物で無く、真面目な作物です。

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ナポリで働いた事がある人は、スゲーって思うじゃないでしょうか?写真で見ても、皮のしっかり具合、実の充実感が伝わってきます。
これは、火を入れて使います。加熱しても全然崩れてきません。
 
イタリアから輸入してきたような完成度。
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チリエージェ ヴェスヴィアーニ。ナポリでポモドリーニ(プチトマト)と言うとこれ。
ナポリ料理は全部トマトベースと思っている方がいますが違います。
外人が、和食は全部醤油味と思っているのと同じです。
しかし、醤油とトマトの使い方は似ています。
和食も醤油をよく使いますが、全部醤油味じゃないですね。ほんの少し、ほんの数滴といった使い方も多いと思います。
トマトも同じです。
アサリのスパゲッティ、1人前につきプチトマト2個。見た目はトマト入っていません。でも全然違います。入れるか入れないか。
逆に、日本でも有名なヴォンゴレロッソ。ナポリではほとんで見かけません。僕にはアサリとトマトが殺し合ってるようにしか思えません。
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超有名なサンマルツァーノ。ミニですが完全に反則。今回の仕入れ分全部杉原家で食べてしまいました。従業員にも内緒です。

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こちらレギュラーサイズのサンマルツァーノ。尼崎の島中さん作。しかも冬の2月に使っていました。
夏のサンマルツァーノは、完全にバカンスの味。美味しくて、甘美で、もうどうでもよくなる。
えーい、太ってやる―て感じ。
夏のビーチで仕事を何日もしてない、優雅さと不安の入り混ざった、でも人の幸せってこれこれって感じ。
 
冬のサンマルツァーノは、日射量が無い分熟すのに物凄く時間が掛ります。結局熟れますが、太陽で熟れたのではなく、大地のミネラルを吸い倒したような繊細な力強さ。ムキムキでなく、筑紫が地面から割って出てくるような神秘的な強さ。
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ズッキーニシリーズ。シルヴィオ一押しのサンパスクアーレ。これが素晴らしい。ズッキーニだけど別次元。アーティチョーク並みの個性があります。
もう添え物ではありません。主役です。
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サンパスクアーレのアップ。立体的な筋が見えますか?この写真の中で1番堅そうに見えますが、実は1番柔らかいんです。

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プリエーゼという種類。スカベ―チェとか詰め物に。

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ロマネスク種。見た目はサンパスクアーレより更にごつごつしてますが、味はプリエーセに近いです。

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普通のタイプ。でも、日本のスーパーで見るより色が薄いでしょ?あの濃い―緑はダメです。苦すぎる。

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丸ズッキーニ。ナポリでは見た事無かった。でもすっごい美味しいです。1番はグリル。

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三度豆。これまたスゲー!!!完全に日本市場を無視したインゲン!日本のスーパーのインゲンがブロイラーとすると完全にジビエやな。筋取るのがメンドクサイけど、(日本の三度豆って筋無いですよね)これも主役。
付け合わせじゃないですね。
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スカローラリッチャ。これまた愛してやまない野菜です。ほろ苦系。

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チコリアセルヴァティカ。苦み系野菜の王様。ホントに苦いです。
でもちゃんと料理すると、他に代役が効かない超個性派俳優に。
苦みフェチなんですが、意外とゴーヤにはあまり惹かれません。
 
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花田さんのイモ、シルヴィオのチコリアセルヴァティカ、最後サーヴィスでちょっとだけくれたグリンピースと下の写真の小ぶりなスルメイカの蒸し煮です。
ここにはゲソとワタだけ。あとでちゃっとソテーしたイカちゃんを上に載せます。
totani e patete all'amalfitana のチコリア入り。アーティチョークヴァージョンも旨い!
 
この料理の主役はジャガイモです。全ての旨味を吸いつくし、適度なとろみをつけてくれ、その上、大地の香りを放つすごいやつ。
で、このジャガイモのすごい所は、(さすがマエストロ花田)ジャガイモとして素晴らしく美味しい事。
 
なんじゃそら!と思うかもしれませんが必要以上に甘かったり、いらん味のするジャガイモって多いんですよ。
または、味もへったくれもないのとか。
 
これは、茹でたら茹でた美味しいイモの味。揚げたら揚げた美味しいイモの味がする。他の食材とも非常によく調和するし、
でもきちっとイモの存在感を放つ理想のイモ。男爵どころか、将軍か皇帝の位を上げましょう。
 
 
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スルメイカ。イワシとかスルメイカみたいなちょっとチープなイメージの食材に命を吹き込むのが大好きです。
イワシはイワシしか持ってない良さがあります。アコウやハモ、トラ河豚もいいですが僕にとっては横並び。
値段は世の中が決めた事。これぞイタリア料理って味ですよ、このイカ料理。
 

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