芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

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2010年9月

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店創り

 久しぶりの更新です。この夏にディナー、ランチともメニューのシステムを変更しました。
システムを変更しただけで、根本的な料理や店のコンセプトが変わった訳ではありません。
 
 始めたばかりなので、今後どう受け入れられていくか見極めなければなりませんが、今のところお客様の反応は良さそうです。
今日は、こういった些細な(?)リニューアルや、小さな装飾、設備投資など、お店を開けてからもずーと続く店創りの話を。
 
 まず、僕は料理以外で人並みの事は全くできません。もし、病気や怪我でこの仕事ができなくなると思うと不安で夜も眠れません。
そこで、司法試験を将来受けようと勉強を試みますが、今度は朝までグッスリ寝てしまっています。
ですので、この仕事ができなくなったら、画家か詩人になると思います。もしくはプライベートフィッシャーマン。日本語でいうと釣り人ですね。完全に職業でないですが。。。
 まー第二の開高建を目指します。後は奥さんの甲斐性次第です。
 
現時点では僕の甲斐性が試されている訳で、それはそれで死ぬ気でがんばっております。
ここで最初のポイントは、何に対して死ぬ気でがんばるか?これが店創りのお話の本質になります。
 
 まず、お店は生き物です。実の子のようでもあり、盆栽のようでもあり、グリノッぺの様でもあります。
共通しているのは、構ってあげる(手入れをする)必要があることです。分かりやすい所では掃除ですね。
掃除をしないと、店が生き物どころが店中生き物になるかも知れません。
 
 哲学的には、掃除とは希釈だと定義されています。つまりなんぼ掃除しても家が無菌状態になる訳ではないので、どこまで希釈するか(汚れ等を)だと。
釈迦のありがたいお言葉みたいです。
 レストランなので当然、清潔さはものすごく大事ですし、それこそ除菌、殺菌もしまくります。
でも、掃除を一歩踏み込んで~磨く~の域に達すると掃除を終えた時、店がニコっとします。
一般的な掃除は店創りでなく、店がニコッとしたらそれは店創りなんじゃないかと。
 
 意外にも僕は掃除が得意です。ですので僕が掃除をすると店はニコッとします。むしろニコッとしてくれるまで掃除を止めません。
やっぱり時間がかかります。そうすると、仕込み、仕入れ、営業中の仕事とすべての仕事が押してきます。
そこで雇用が発生します。ここで、僕の代わりに掃除をしてくれる人が僕と同程度の掃除をしてくれるまで根気よく指導する。
これも店創りです。
 
今、掃除でたとえ話をしましたがどんな些細な事でもこれで絶対大丈夫!ということはありません。
もうひとつ例をあげてみると、おしぼり。この世にはおしぼり屋さんという便利なサービスがあります。しかしおしぼり屋さんのおしぼりは少し特殊な洗剤の匂いがする時があります。
以前使っていた時期もありますが、今は自分のところで洗濯し、やさしい良い香りがほんのりする、暖かいおしぼりを用意しています。でも今年の夏の様に強烈に暑い夏は冷たいおしぼりの方が喜ばれるかなーとか、
いっそのこと暑いおしぼり先ず出して、それから冷たいの持っていったらもっと喜ばれるんじゃないかとか考えるときりがありません。
 
 今回のメニューのシステムの変更は、お客様によってはそんなに大きな変化を感じないかもしれません。
それはそれで一つの成功の証かもしれませんし、効果が無いのかもしれません。でも最終的にはいろいろ考えて試してみるしか成長の道はありません。やりながら修正する。少しずつ立ち止りながらでもより前へ。
この仕事が長くなればなるほど地道に行かなしゃーないなーと思います。
装飾とか設備投資みたいなハレの部分は、店創りの中の息抜き、自分へのご褒美ですね。
 第二部に続く
 

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